MFT(口腔筋機能療法)
「口腔筋機能療法」とは、舌や唇、頬など、お口の周りの筋肉を強化して、正しく機能させるためのトレーニングです。
このトレーニングは、一般的には小児矯正の分野で用いられることが多く、歯並びを悪化させている原因となっている舌の癖や、口呼吸などの習慣を改善する目的で行われますが、年齢によるお口周りの筋肉の衰えで摂食機能障害が懸念される高齢者の方に対しても有効です。
お子さまや高齢の方の口腔機能の低下や発達不全は、従来は具体的な病名がつけられておりませんでしたが、2018年の医療法の改正により、これらの症状は口腔の発達にかかわる疾患として、お子さまの場合は「口腔機能発達不全症」、高齢の方の場合は「口腔機能低下症」という疾患名で保険制度に組み込まれました。
現在では、18才以下のお子様で、食べる・話す・呼吸などの機能が十分に発達していない状態(口腔機能発達不全症)の方、及び、50歳以上のかたで、口腔機能低下症と診断された方は保険治療でトレーニングを受けることが出来ます。
保険適用の条件(2023年現在)
口腔機能発達不全症:18才以下のお子様で、「口腔機能発達不全症」の診断を受けた方
口腔機能低下症:50歳以上の方で、「口腔機能低下症」の診断を受けた方
このような方々におススメしております。
お子さまの場合
悪い癖や習慣がありませんか?と言われても、ご自身ではなかなか気が付きにくいもの。また、お子さまのお口周りの筋肉がしっかりと発達しているかどうかを見極めるのも、普段の生活の中ではなかなか難しいものです。
そこで、トレーニングが必要かどうかの判断基準として下記の項目を参考にしていただければと思います。
当てはまるものに(Check)してみましょう!
高齢の方の場合
食べものや飲みものを飲み込む動作のことを「嚥下(えんげ)」と言います。
高齢になると、この嚥下のために必要な筋肉が衰え、機能が低下してしまうために、むせてしまったり、食べものや飲みものが飲み込めなかったり、食べこぼしたりすることが多くなる傾向があります。
また、嚥下機能が低下すると、誤って気管に入ってしまった食べものや飲みものを押し戻すことができず、食べものや唾液と一緒に細菌が肺に入り込み、炎症を起こしてしまう「誤嚥性肺炎」にかかりやすくなってしまいます。
肺炎は、現在日本人の死亡原因第4位という高い割合を占めている病気。さらに、入院を要した高齢患者の肺炎の種類を調べたデータでは、80歳代の約80%、90歳以上では95%以上が誤嚥性肺炎とも報告されています。
より健康で長生きするためにも、しっかりと噛んで食事をすること、お口の周りの筋肉を鍛えることは、とても大切なことなんです。
当てはまるものに(Check)してみましょう!
トレーニングの流れ
トレーニングは、基本的にご自宅で行っていただくものが主体となるため、まだ小さなお子様の場合や高齢の方の場合、ご家族の協力が不可欠です。
継続して行っていただくことがとても大切ですので、時間を決めて一緒にトレーニングをしてあげるとよいでしょう。
STEP1、診断
まず、舌や口唇、歯などにどんな癖があるのか、どの部分の筋肉が弱いのかなど、現在の状態を検査いたします。
STEP2、医院にてトレーニングの練習
状態に合わせて作成したトレーニングメニューを一緒に行い、トレーニングの練習をしてみます。
だいたい月に1回程度ご来院いただき、20~30分チェックとトレーニングをいたします。
STEP3、ご自宅でのトレーニング
練習したトレーニングメニューをご自宅で行なっていただきます。
小さなお子様の場合はお母さまも一緒に、楽しみながら行うようにしましょう。
STEP4、改善具合をチェック
ご来院時にトレーニングの効果や癖の改善具合をチェックします。
改善されていた場合は次のステップに進み、新しいトレーニングメニューの練習をします。
STEP5、ご自宅でのトレーニング
同じように、新しいトレーニングをご自宅で行なっていただきます。
STEP4、5を繰り返し、癖や習慣の改善がされるまで行います